2018年 インフルエンザワクチン は必要?

 今年もインフルエンザが流行する時期になりました。北海道ではまだ発症のニュースは聞きませんが、本州ではすでに学級閉鎖になっている地域もあると聞きます。

 当院でもインフルエンザ対策として予防接種の予約受付を開始し、16日(月)から接種開始予定です。

 

 そこで、患者さんから

  • 「毎年ワクチンを接種する必要があるの?」
  • 「ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかった。本当に効くの?」

とよく質問されます。ごもっともです。一言で答えるなら、「病気を完璧に予防する方法はありません。」としか言えませんが、これでは元も子もないのでもう少し詳しく説明しておきます。

 

 一般に一度ウイルスに感染すると、抗体ができるので同じウイルスには感染しにくくなります。ところが、インフルエンザウイルスには突然変異が起こりやすいという特徴があります。過去にインフルエンザに感染したことがあっても突然変異したウイルスにはその抗体は役に立たないので再びかかってしまいます。これが毎年接種する必要がある理由です。

 

 インフルエンザワクチンは抗体を作る手助けをしてくれます。抗体があればかかっても発症しない、あるいは発症しても軽症ですむ場合が多いのです。まったくインフルエンザにかからなくなるわけではありません。ただ、毎年形を変えるウイルスに対応するのは難しく、その年に流行りそうなものを予想してワクチンは作られています。また、抗体を作る力は人それぞれ違いますので、同じワクチンを接種してもうまく抗体ができない人もいます。そのため、接種をしてもかかってしまう人がいます。

 

 それでは、なぜワクチン接種をすすめるのか。

 

 一つには、発病する確率が減るからです。一般にはインフルエンザの予防接種を受けると受けなかった人に比べて発症率が4割ぐらいに減ると言われています。つまり、予防接種を受けなかったせいでインフルエンザを発症した人が10人いたとして、その10人が全員予防接種を受けていれば6人の人は発症せずにすんだ、ということです。この6人の人たちは「予防接種を受けた方が良かった。」ということになりますが、残りの4人は「予防接種を受けても受けなくても発症するのだったら予防接種が無駄だった。」と言う事になります。これを得と考えるか損と考えるかは人それぞれだと思います。

 

 二つ目として、まれに体力の弱っている人、子供、お年寄りなどは重症になりインフルエンザ脳症や肺炎などで命を落としたり、後遺症が残る人がいると言う事です。

 

 ワクチンを接種しても発症してしまう人もいるし、重症化するのはまれなので、体力に自信があって、かかったら部屋に閉じこもって誰とも会わない、というのならワクチンを接種する必要は無いかもしれません。ただ、本人が体力に自信があっても、体力のない人にうつしてしまう可能性がある場合はやはり予防接種は受けた方が良いと思います。