新型コロナウイルス(2019-nCoV)について

 当院を訪れる患者さんからも新型コロナウイルスの話題が出ます。毎日のように報道されてますから嫌でも気になりますよね。私は専門家では無いので詳しい解説は専門家に任せますが、私の思うところを書いておきます。

 

【あまり大袈裟に騒がないように!】

 多くの医師が「あまり大袈裟に騒がないように。」と言っています。私も同感です。ただし、新型コロナウイルスが怖くないと言っているのではありません。むしろ、新型コロナウイルスだけでは無くこの時期に流行するインフルエンザウイルス、ノロウイルスなどほかにも怖いウイルスはいっぱいありますよ、と言いたいです。

 実際にインフルエンザウイルス感染が重症化して肺炎や脳症になって高齢者や乳幼児が毎年何千人も亡くなっています。インフルエンザウイルスも数年ごとに新型ウイルスが出現し、一番最近では2009年に世界的に大流行しました。インフルエンザウイルスには予防のためのワクチンがあり、有効な予防法として手洗い、うがい、咳エチケット、マスクが言われています。私もこのブログで毎年、これまで何十回も書いてきましたが、これは今現在、新型コロナウイルスの予防として言われていることと同じです。多くの医師はこのことをよく知っていますので、なぜ今回の新型コロナウイルスの時だけ、マスクや消毒薬が飛ぶように売れるのか不思議です。今回だけではなく、是非とも普段から手洗い、うがい、咳エチケット、マスクに気を配って頂きたいものです。

 

【情報に振り回されるな!】

 ネットから多くの情報が流れてきて、それがまた人伝いに広まっていきます。そのような情報には悪意の有る無しにかかわらず間違いが少なからず含まれていますし、最初は正しくても伝わっている内に伝言ゲームで段々話が大袈裟になっていくことがあります。

 私個人として信用しているのは国際的には世界保健機構(WHO)と米国疾病予防管理センター(CDC)、国内であれば厚生労働省国立感染症研究所と国際医療研究センターの情報を信用しています。海外の報告を確認したい場合は2019-nCoVで検索して下さい。これが国際的に使われている新型コロナウイルスの略称です。多くの専門家はこれらの施設からの情報をもとにコメントしています。ただし、若干ですが、それぞれの立場で都合の良い情報提供がされている感は否定できません。

 「知り合いの医者がこう言っていた。」「テレビで〇〇が効くと言っていた。」などと私に真偽の程を確認してくる患者さんもいますが、私がいつも言っているのは、「感染症の専門家が話したり、書いたりしている最新の情報を直接自分の目で見て、耳で聞いたことだけを信用して下さい。」と言っています。情報は日々更新され、古い情報は役に立たない場合があります。情報元が長年のつき合いのある信用の出来る方だったとしても相手が感染症の専門家でないなら、その話は参考程度に聞いて、真に受けないのが良いと思います。

 

【予防・治療に特別な方法は無し!】

 一部のウイルスにはワクチンや治療薬が存在しますが、それでも感染や重症化を100%防げるわけではありません。予防の第一は散々言われているとおり、こまめな手洗い・うがい・咳エチケット。マスクもウイルスを撒き散らす予防には効果があると思います。

 不幸にも感染してしまった場合はインフルエンザと同様、良く休んで、よく寝て、よく食べる。自己免疫力でウイルスを撃退しましょう。重症化し亡くなった方の多くは抵抗力の落ちた高齢者や持病を持っている方が多いようです。ただし、若い方でも衛生環境の悪い場所で治療を受けたり、疲労により免疫力が落ちている場合は重症化する場合があります。中国では最前線で治療に当たっていた医師を含む医療関係者が数名亡くなっているようです。報道によればかなり過酷な環境で診療に当たっているようです。異国の同胞の活躍に敬意を表すとともに自分自身の戒めとしたいと思います。