【急性の嗅覚・味覚障害の対応について】

 阪神藤浪晋太郎投手が新型コロナウイルスに感染したことが判明し、その症状が嗅覚障害「においを感じない」と言う症状だったと報道されています。WHOの報告では感染者の約9割が発熱、約4割が倦怠感、約2割が咳・息切れの症状が出ていた、と報告していますが、嗅覚障害については調査中となっています。ただし、イタリアからの報告では約3割が嗅覚や味覚の障害が出ていたと報告しています。

 詳細な報告はこれから増えるでしょうが、現段階では他に症状(鼻みず、鼻づまり、くしゃみなど)が無いにもかかわらず、突然においや味がしなくなったら新型コロナウイルスに感染している可能性が否定できません。万が一、自分に「においがしない」「味がしない」という症状が出たらすぐに検査を受けた方が良いのだろうか、と不安になりますね。 

 この場合の対応の第一目的は「症状改善」ではなく「感染拡大防止」になります。このような患者様から当院に相談があった場合の対応として、

 

  • 家族にうつさないためにも自宅でも必ずマスクをしてもらう。
  • 他に症状が無ければ2週間程度の自宅待機をしてもらう。
  • 発熱・咳がでれば帰国者・接触者相談センター(札幌市の場合、011-272-7119)に連絡してもらう。
  • 1週間経ってもにおい・味が戻らない場合も帰国者・接触者相談センターに連絡してもらう。

 

 となります。診察も受けられず、薬ももらえないと不安や不満に感じる方も多いと思います。ただ、急性の嗅覚障害・味覚障害に対する治療はほとんどありません。また、藤浪投手もそうですが、軽症の場合は新型コロナウイルスであろうが、無かろうが数日で症状が改善してくることが多いです。むしろ、熱も無い新型コロナウイルス感染者が病院・職場・学校などに外出することによって他の方にうつす方が深刻です。

 国を挙げて新型コロナウイルスに立ち向かう苦しい時期ですので、苦しいこと、不満に思うことも沢山あると思いますが、みんなで協力してこの難局を乗り切りましょう!